「英語が話せるようになりたいけど時間がない」「挫折してしまった経験がある」という人も多いことでしょう。
今回は、株式会社プログリットの代表取締役社長である岡田祥吾氏によって書かれた「英語学習2.0」という本をご紹介します。
この本を読んだ感想や、世間の口コミ・評判についても書いたので、英語学習法に興味がある人はぜひ最後までご覧ください!
・英語学習2.0とは何なのか?
・本書のポイント
・本書に寄せられた口コミ・評判
目次
英語学習2.0とは
まずは、本のタイトルにもなっている「英語学習2.0」というキーワードについて。
「英語学習2.0」時代の前には、実は「英語学習1.0」の時代がありました。
これは2000年代以降にオンライン英会話が登場し、誰もがいろいろな英語アプリや教材に簡単にアクセスできるようになりはじめた頃です。
言い換えれば、英語学習の手段が多様化の道を辿りはじめた頃ですね。
そして今、時代は「英語学習2.0」へと移行しました。現代は、よいとされる様々な学習法にあふれており、手段が多すぎるが故に、自分にあった学習法が見えづらくなっています。
「とりあえずベストセラー書籍を買って勉強を始めたが3日坊主だった」「有名な人がシャドーイングを勧めていたからやってみたけど、今の自分に本当に必要なのか疑問」
といった感じです。本書ではこのようなジレンマを解決し、効果的に英語力を上げようとする動きを「英語学習2.0」と定義しています。
ここで押さえておきたいのは、「英語学習2.0」は、新たな英語学習法を私たちに教えてくれるものではないということです。誰でも使えるような斬新な英語学習のパッケージは本書には出てきません。
本書は、すでに存在している学習方法や知見を用いて、それをどのように効果的に使うかにフォーカスしています。
「誰にでも効果がある〇〇」といった曖昧な方法ではなく、個人のレベルや特性に合わせて、いつ、どんな学習をおこなえば科学的に効果的なのか?について学べる本です。
本書の要約
なぜ英語ができない私がマッキンゼーを経て英語教育で起業できたのか
著者の岡田祥吾氏は、大学卒業後、有名外資系コンサルであるマッキンゼーに入社しました。しかし、英語が苦手だったため、英語でのミーティングでは力を発揮できず、悔しい日々を過ごしたと言います。
その後、藁にもすがるおもいで英会話レッスンを受け始めるわけですが、結果がでません。なぜか?それはただ「やっているつもり」になっていただけで、きちんとした自主学習の時間が確保できていなかったからでした。
その後は忙しい日々の中でも仕事の生産性を高め、学習時間を捻出する工夫をしていきます。そして、効率的な英語学習法について考え続けました。
そして起業。自身が英語で苦しんだ過去があるからからこそ、同じような境遇の人をなんとかしたいという想いからでした。
岡田氏は、英語力の伸び=学習生産性×投下時間としています。英語力を上げるには、その人に合った学習生産性が高い方法で、時間をかけて学習するしかありません。
プログリットでは、言語学の知見をベースにこの2点を徹底的に研究しています。
間違いだらけの英語学習
世の中には、多くの人がやりがちな、間違いだらけの英語学習方法で溢れています。
オンライン英会話を受けさえすれば英語が上手くなる!
→ 日々の大量のインプットなしにオンライン英会話でアウトプットしても大きな効果は見込めない
英字新聞を読むといい!
→単語、文章ともにレベルの高い英字新聞を教材にするのは多くの場合非効率。多読トレーニングをするならほぼ全ての単語がわかる程度の文章を教材にすべき
単語は1つ1つじっくりと覚えるべき
→1回に時間をかけるよりも、何度も反復して同じ情報をインプットする方が定着がよい
このようなありがちな誤解に対して、根拠を持って正しい情報をシェアしています。
英語を科学する ーリスニング編
「リスニングが苦手…」と嘆くみなさん、なぜ自分はリスニングができないのかを考えたことはありますか?
リスニング力を向上させることができない一番の要因は、自分のリスニングにおける課題を分析できていないからです。
リスニングには、大きく2つのプロセスがあります。音声知覚と意味理解です。
音声知覚とは、耳から入った音がなんという単語かを知覚するプロセスで、意味理解とは音声知覚した単語が文章としてどういう意味かを理解することです。
リスニングは、この音声知覚と意味理解の処理が2つともできて初めて成り立ちます。そのため、自分がどちらに問題があるかを特定することがリスニング力向上への第一歩ということになります。
音声知覚に問題があるのであれば、英語特有の音声変化への耐性をつけることが有効です。これができるようになったら、次は音声知覚プロセスの自動化を目的としてシャドーイングを取り入れていくと良いです。
シャドーイングの詳しい説明はここでは割愛しますが、リスニング力向上に絶大な効果があります。プログリットでは、
シャドテンというシャドーイングに特化したサービスも行っていますので、よかったらチェックしてみてください。
意味理解に問題があるのであれば、多読トレーニングが有効です。自分にとって簡単な英語で書かれた教材をひたすら読むことで、英語を英語の語順で理解する力が身につきます。
または音読。音読は声に出して読むため、返り読みをする余地がありません。その結果、英語を英語の語順のまま理解するトレーニングになるのです。
英語を科学する ースピーキング編
スピーキングにコンプレックスがある場合、まず「なぜ自分はスピーキングが苦手なのか」その原因を特定するところから始めるとよいです。
人がスピーキングができない理由は大きく2つあります。1つ目が、そもそもリスニングができていないパターン、2つ目がスピーキング力が足りないパターンです。
前者の場合は、まずはリスニングのトレーニングを積んで、相手の言っていることがわかるレベルになる必要があります。
後者、すなわちスピーキング力が低くて話せないという状況に陥っている場合は、スピーキング時の脳のプロセスを理解することが必要です。
人間は、スピーキングをする際、概念化→文章化→音声化という順序を辿っているとされています。概念化とは、頭の中で何を言おうか考えること、文章化とは英語の文章を頭で組み立てること、そして音声化とは文章化した英語を口から発することです。
概念化を鍛えるには、オンライン英会話などを用いて英語思考を身につけることが有効です。文章化が弱いと感じているのであれば、瞬間英作文といった、簡単な日本語を次々と英語に訳していくというトレーニングが有効です。時間があれば無理なく組み立てられる文章でも、スピーディにやろうと思うとびっくりするほどできないと感じる人も少なくないはずです。
英語学習を継続する仕組み
著者は、英語学習はコツコツするよりも、短期間で集中して行った方が効率が良いと考えます。
期間中、ずっとモチベーションを保ち続けるための3つの条件は、目標設定が適切であること、英語学習の方法に納得していること、成長実感があることです。
英語学習における具体的な目標を設定し、自分の学習方法に確信を持ち、小さな成長を感じ続ける…。
これらの3つの要素が揃っていれば、英語学習は継続しやすいものになります。
1日の理想の学習時間は3時間です。働くビジネスパーソンにとって、1日3時間の学習時間を捻出するのは難しい…と思うかもしれませんが、時間は工夫次第でいくらでも作れます。
現状のスケジュールを一旦排除し、ゼロベースでスケジュールを考え直したり、寝る時間を決めて朝を有効活用したりなどできることはたくさんあります。細切れの時間ばかりでなく、まとまった学習時間を確保できるように工夫してみることが大切です。
「英語学習2.0」を読んだ感想
多くの人は「英語が聞けない」「話せない」ことに深刻に悩んでいますが、それに対するアプローチは「話せない」→「オンライン英会話を毎日やろう」といったような、安易な考えになっていることも多いと思います。
ただ、その時の個人のレベルや特性によって、なんのトレーニングが一番効果的かということは変わってくる。だから話せないからといってオンライン英会話や英会話教室に飛びつけばいいという簡単な話ではないんですよね。
スピーキングが苦手ならスピーキングのプロセスを知り、自分のどこに原因があるかを考えてみる。
そのあとに初めて自分のとるべき手段って決まるのだということ。これってよく考えればあたりまえのことなのですが、見落としがちな点だと思います。
英語コンテンツが飽和しきっているこの時代、有名人のレビューや世間の口コミなどに左右されずに自分なりの考えや根拠をもって教材やトレーニングを決めていくことが大切だと再認識しました。
本書は、人間に共通するリスニングやスピーキングの脳内処理プロセスについて科学的に説明しており、多くの英語学習者にとって有益な情報になりうると思います。
できる範囲で日々の学習の中に取り入れていけるといいですね。
英語学習2.0の評判・口コミ
英語学習2.0について、良い口コミと悪い口コミを集めてみました。
良い口コミ
具体的なトレーニング方法やおすすめ教材が知れる
自分がなぜある程度から伸び悩んでいるかなど、非常に痛いところを突かれる。リスニング、スピーキングなどに関して具体的な教材と練習法も示されていて、これをしっかりやり切れれば、間違いなく効率よく成長出来ると思った。
英語学習を一通りしたものの行き詰まった人におすすめ
書店で本を買ってなんとなく勉強したり、英会話スクールに通ったりと、一通り英語の勉強しがそこまで伸びず手詰まり感のある人は、読んで損は絶対にありません。
自分がこれまで伸びなかった原因と、今後すべき勉強方法がわかりました!
おススメです
学習に対する姿勢や本質を学べる
英語学習の本のようで、「理想の自分を目指して、幸せな人生を生きるには?」という、もっと広い深い本質的なテーマを考えさせられる本でした。
・24時間全ての使い方を見直す
・可視化された成長実感を得る
・同じ志や目的を共有する仲間
など、chapter5「英語学習を継続する仕組み」が、個人的にはこの本の肝の部分だと思っています。
悪い口コミ
英語の読みをカタカナで済ませている
厳密な意味で英語にカタカナで表現できる音など一つもありません。なので我々英語学習者は発音記号を媒介に正しい発音を身につけるのです。そして正しい発音を意識せずシャドウイングをしても効果は期待できません。
情報が体系的でない
英語を学べるスクールを経営しているのだけれど、書籍の中で紹介されている体験談は著者自身のものばかり。
英語学習論に関しても、目新しいものは無し。
別に間違ったことは言っていないが、人生経験の浅さか、あるいは運営している語学スクールでの経験がほとんどないせいか、説得力がない。薄っぺらい一般論を延々と読んでいる印象。
まとめ:英語学習2.0はどんな人におすすめ?
今回は、株式会社プログリットの代表取締役社長、岡田祥吾氏の「英語学習2.0」という本をご紹介しました。
本書がおすすめなのはこんな人です。
・今の自分の英語学習法が正しいのか知りたい
・過去に独学で英語を学習したが挫折してしまった
・忙しい毎日の中でどのように学習時間を確保するかを知りたい
・英語学習を継続する仕組みを知りたい
これまでなんとなく英語学習をやってきたという人には、いい意味で衝撃のある一冊です。
興味があればぜひ読んでみてください!
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